アレルギー性鼻炎・花粉症

子どもの
アレルギー性鼻炎・花粉症

子どものアレルギー性鼻炎・花粉症アレルギー性鼻炎は、アレルギー症状の原因となる物質(アレルゲン)が鼻の粘膜に付着することで発症し、くしゃみや鼻水、鼻詰まりなどの症状を引き起こします。
また、鼻の症状の他に頭痛や食欲不振、目・耳・のどのかゆみなどの症状を伴うこともあります。
原因となるアレルゲンによって種別され、ダニやハウスダストが原因の「通年性」、スギなどの花粉が原因の「季節性」があります。
アレルギー性鼻炎は重症になることはありませんが、快適な生活の妨げになります。
風邪と比べて、透明で水っぽい鼻水が出ることが特徴で、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などの発症を伴うことも多くみられます。

アレルギー性鼻炎の診断

鼻詰まりは、くしゃみや鼻水の症状と比べ確認が難しいため、口呼吸の多さなどの様子をよく観察し、診断を行います。
また、アレルギーを引き起こしているアレルゲンを調べるため、血液検査を行うこともあります。アレルギーの原因が複数ある場合もありますので、必要に応じて皮内テストやプリックテストのような皮膚の検査も行います。

アレルギー性鼻炎の治療

診察室アレルギー性鼻炎は、通常はアレルゲンの除去や回避などの環境の改善と薬物療法で治療が行われます。当院では、通常の治療の他に舌下免疫療法も行っています。
症状を感じずに日常生活が送れることを目標として、治療を行っていきます。
アレルギー性鼻炎の治療法にご不明な点がありましたら、遠慮なくご相談ください。

アレルゲンの除去・回避

季節性と通年性で、対応が異なります。

花粉が原因の季節性な場合

花粉が飛散する季節のみ対応が必要になります。花粉を部屋などの長くいる場所に侵入させないことが大切なため、掃除をしっかり行う、洗濯物や布団を外に干さない、外出時は帽子・マスク・眼鏡・サラサラした素材の上着などを着用することが大切で、できるだけ花粉が付着しないように予防しましょう。
また、家に入る前に外で花粉を払い落すことも効果的です。

ハウスダストやダニが原因の通年性の場合

できるだけ部屋の布製品を減らす、掃除をしっかり行う、部屋の湿度と温度適度に保つことが重要です。布団からダニやダニの死骸を除去するため、掃除機で吸ったり、週に2回程度干したり、布団乾燥器にかけるなどを行いましょう。
布団カバーやシーツ、枕カバーなどの寝具用品を、週に1回程度のペースで選択することも効果的です。

薬物療法

子どものアレルギー性鼻炎は薬物療法も効果的です。
主に処方するお薬は抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬です。
鼻腔内が大きくなり、鼻閉が起こっている場合は鼻に噴きかけるタイプのステロイド薬を使用することもあります。
花粉症などの季節性のものはシーズン前に治療を開始する事で効果を期待しやすいです。

免疫療法

免疫療法には、「皮下免疫療法」と「舌下免疫療法」の2種類があります。
皮下免疫療法と比べ、舌下免疫療法はアナフィラキシーのリスクが少ないと言われており、通院回数も少なく済みます。
近年、スギ花粉とダニのアレルギーに対する舌下免疫療法は保険適用となっており、5歳以上の子どもから治療が可能です。
当院でも、舌下免疫療法による治療が可能ですので、ご検討の際は是非ご相談ください。

舌下免疫療法

よくある質問

アレルギー性鼻炎や花粉症になる原因を教えてください。

人の体は、花粉などのアレルゲンを何度も吸入していくうちに、体内にそのアレルゲンに対するIgE抗体というものが作られます。
IgE抗体は、鼻粘膜にある肥満細胞と呼ばれる免疫細胞に付着します。
IgE抗体は一定の量までは症状を起こしませんが、一定の量以上に増加した場合、アレルゲンと肥満細胞を結合させるように働きます。
アレルゲンと肥満細胞が結合すると、ヒスタミンやロイコトリエンという化学伝達物質が生み出されることで、鼻水や鼻詰まり、くしゃみ、炎症などの症状が引き起こされます。

アレルギー性鼻炎は自然治癒しますか?

アレルギー性鼻炎になると自然に治癒することはほぼないと言われています。
スギ花粉によるアレルギー性鼻炎で自然に治癒した例は、全年齢に10%、小児では2%のみだったと報告されています。
なお、治療を行う場合は免疫療法(脱感作療法)のみが完治を期待できる治療法です。
治療には2年以上の長期間を必要としますが、50%程度の方に効果が現れています。

風邪とアレルギー性鼻炎はどう違いますか?

アレルギー性鼻炎と風邪の症状には以下のような違いがあります。

  アレルギー性鼻炎 風邪
主な原因 花粉、ハウスダスト、ダニなど ウイルス、細菌
かかりやすい時期 種類により、通年または花粉の飛散する季節 季節の変わり目など
症状の続く期間 1〜2ヶ月以上 1〜2週間
症状 くしゃみ 多い 少ない
鼻水・鼻汁 透明で水っぽい 初期は透明から、後に黄色くドロドロになる
鼻詰まり ある ある
伴ってくる症状 頭痛、目のかゆみ、のどの乾燥、微熱、咳 発熱、寒気、のどの痛み、咳、痰、関節痛、倦怠感

特に、2月~3月上旬は風邪の流行期とスギ花粉の飛散する季節が重なるため、症状から判別できないことがあります。正確に診断するためには、症状や鼻の中の状態を確認や検査を行う必要があります。

アレルギー性鼻炎になる人が増えていると聞きました

近年、アレルギー性鼻炎にかかる方は増加しており、特に季節性のアレルギー性鼻炎(花粉症)が増えています。通年性のハウスダストとダニによるアレルギーは増加がみられていません。
アレルギー性鼻炎は低年齢化も進んでおり、子どもでの発症も増えています。
花粉症の増加は、過去に大量に植えられたスギの木が、シーズンに多く花粉を飛ばす樹齢になってきたことが大きな原因です。
また、現代では清潔な環境が増えたために、本来の免疫力が鍛えられないことも、ひとつの要因になっていると考えられています。
大気汚染や地球温暖化の進行なども原因になっているのではないかと言われています。

遺伝しますか?

アレルギー性鼻炎になりやすい体質は遺伝するようです。
アレルギー疾患が両親どちらかだけにあった場合は約50%、両親ともある場合は80〜90%程度の割合で、子どももアレルギー性鼻炎になっていると言われています。
ただし、発症するまでには様々な要因があるため、遺伝のみが発症の原因ではありません。

症状を抑えるための対策はありますか?

ハウスダストやダニがアレルゲンとなる通年性と、花粉などがアレルゲンとなる季節性(花粉症)で対策が異なります。

通年性の場合

部屋を喚起し、水拭きを主にこまめな掃除を心がけましょう。また、カーペットなどの布製品は極力減らしましょう。ペットを飼う場合、犬や猫は抗原性が高いため、別の動物を飼うことが望ましいです。その上で犬や猫を飼う場合は、外で飼う、一緒に寝ない、ブラッシングの際にマスクをつけるなどの対策を行いましょう。

季節性(花粉症)な場合

花粉情報をよく確認し、花粉の多い日はできるだけ外出しないようにしましょう。
外出する場合には、マスクや眼鏡着用し、服装は毛やフリースは避け、サラサラした素材の上着などを選びましょう。
外出から帰った際には、手洗いとうがいを徹底しましょう。
原因となる花粉の飛散が多い時期は、花粉が付着するのを避けるため、洗濯物や布団は外に干さず部屋干ししたり、布団乾燥機を使うことが望ましいです。
外に干す場合は、取り込む前によくはたいて花粉を落としましょう。

家族に喫煙者がいる場合、副流煙も鼻の粘膜を痛め、症状を悪化させる要因です。
できる限り禁煙することが望ましいですが、喫煙する場合は家の外に出るなど、お子さんが副流煙を吸わないようにしてください。
また、ストレスもアレルギー性鼻炎の症状を悪化させる要因になるため、お子さんのストレスにならない環境を心がけましょう。

本人の根性や気力は関係あるのでしょうか?

アレルギーは、精神的な強さとは関係なく発症します。
「アレルギーは根性で克服できるため、昔はアレルギーになる人はいなかった」と考えている方もいらっしゃいますが、これは誤りです。
アレルギーは昔から存在していたが、判明していなかったため、診断されることがありませんでした。
アレルギー性鼻炎は根性がない訳ではなく、適切に治療を受ける必要があります。

花粉症は小さい子どもでもなりますか?

以前は、小さい子どもの花粉症は少ないと言われていましたが、近年では、2歳程度から発症することが多く見られています。
アレルギー体質ではない子どもの場合でも小学生に上がる頃から突然、花粉症になることが確認されています。

花粉症が咳の原因になることはありますか?

花粉症は全身疾患であるため、鼻炎の他にも様々な症状が発生します。
咳や目のかゆみ、のどの痛み・違和感、倦怠感などが多く、発熱することもあります。

アレルギー性鼻炎はどのように診断しますか?

症状や、鼻の状態を確認し、必要に応じて検査も行い診断します。
検査では、鼻水の中の細胞成分を調べる鼻汁中好酸球検(ハンセルテスト)という検査を行います。
風邪とアレルギー性鼻炎では好酸球鼻水の中で増える細胞成分が異なるため、判別が可能です。
アレルギー性鼻炎の場合は鼻水に「好酸球」という成分が増えますが、アレルギー性鼻炎の他に好酸球増多性鼻炎という疾患でも好酸球は増えるため、さらに判別が必要になります。

原因となるアレルゲンを調べることはできますか?

検査によってアレルゲンを調べることができます。
アレルゲンを皮膚内に吸収させ反応を診る「スクラッチテスト」などの検査があります。

早い時期にお薬を飲むことで花粉症を予防できますか?

スギ花粉は、多く放出される時期の前から微量の花粉が放出されています。
微量の花粉が放出されている時点では、症状を感じないことが多いですが、その場合でも鼻の粘膜は少しずつ影響を受け始めます。花粉が多く放出される時期には、より症状が強くなるため、花粉が多く放出される時期の2週間ほど前から抗アレルギー薬を服用することが効果的です。鼻の粘膜への影響を抑えられ症状が強くなることを防ぐことができます。
早い時期に治療を開始することを「初期治療」と呼びます。

アレルギー性鼻炎のお薬は眠くなりますか?

以前は、抗アレルギー薬は眠くなるものが主流でしたが、現在では眠くならないお薬も多く存在しています。
仕事や運転にも問題なく服用が可能です。
お薬のご希望がある際は、お気軽にご相談ください。

アレルギー性鼻炎の治療薬にはどんなものがありますか?

抗アレルギー薬には、作用によって大きく分けて「抗ヒスタミン作用のあるもの」「ヒスタミン以外の化学伝達物質の作用を抑制するもの」「ステロイド」の3種類があります。

抗ヒスタミン作用のあるもの

主にくしゃみや鼻水を抑える働きがあり、目や鼻、皮膚のかゆみを和らげる作用もあります。
古くから使われており、風邪薬などにも含まれています。
以前は口が渇く、眠くなるなどの副作用が強い治療薬でしたが、現在は副作用を抑えるように改良され、全く眠くならないお薬もあります。

ヒスタミン以外の化学伝達物質の作用を抑制するもの

主に鼻詰まりに対して有効です。
喘息は鼻づまりと病態が似ているため、喘息に効果がある種類もあります。
花粉症やアレルギー性鼻炎で鼻水や鼻詰まり、くしゃみの症状がどれも強い場合は、抗ヒスタミン薬と合わせて処方されることもあります。欠点としては比較的高単価なものが多いことです。

内服ステロイド剤

ステロイドには副作用があるため、最初から処方されることは少なく、通常は抗アレルギー薬で改善が見られない場合に処方されます。
副作用の懸念が少ないよう、抗ヒスタミン剤とステロイド剤の合剤である、セレスタミンが使われることが多いです。

点鼻液

鼻の中に直接噴霧する治療薬です。抗アレルギー薬やステロイド、血管拡張剤などの種類があります。抗アレルギー薬とステロイドの点鼻は副作用が比較的弱く、抗アレルギー薬の内服に加えて処方されます。
内服薬よりも薬剤の血中濃度が低い傾向にあるため、妊娠中期または後期であれば妊娠中でも使用できる場合があります。

1回の注射で花粉症が治ると聞きました。できますか?

一度の注射で効果が1~2月程度の長期間持続する種類のステロイドはあります。
そのため、花粉が多く飛散する時期に注射することで、次の年までお薬を服用せずに生活できます。
ただし、これで花粉症が完治するわけではありません。
ステロイドには副作用があり、注射した部分の筋肉がへこんだり、生理不順が起きたりすることがあります。
効果が長期間続くステロイドは、副作用も同様に長期間続きます。
そのため、効果が短期間のステロイドのように、使用を止めて副作用を抑えることもできません。
当院では副作用の点から推奨できないため、取り扱っておりません。

スギ花粉症で、お薬を飲むのを止めてよい時期はいつ頃ですか?

スギ花粉の飛散が収まるのは、地域によって異なります。東北では4末から5月上旬頃、関東地方だと4中旬頃と言われています。
ただし、空気中に花粉がなくなっても、床やカーテンなどに残った花粉が舞い上がり、症状が出る場合もあります。
そのため、飛散が終わった後も、1間程度は服用を続けましょう。
なお、スギ花粉症とあわせてヒノキ花粉症もある場合は、さらに長めに抗アレルギー薬を飲む必要があります。

抗アレルギー薬に副作用はありますか?

抗アレルギー薬は長期間服用することを想定して作られているため、危険な副作用はありません。
なお、古い種類の抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬には、眠くなったり口が渇くなどの副作用がある場合があるので注意しましょう。
また、ステロイドは長期間の内服で、胃潰瘍、骨粗鬆症、血糖値の上昇などの副作用が現れることがあります。
症状が重い場合はステロイドを処方する場合もありますが、短期間の使用に留める必要があります。

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